ウルムチの火災についての訂正と今後の中国政府の出方—習近平も方向転換を示唆-(松沢呉一)
ウルムチ火災についての訂正
まず訂正。
「規制緩和の方針はすでに決定していると思える—なんだか引っかかる中国の動き[中]」に、ウルムチの高層ビル火災について、住民は漢族だろうと書きましたが、高層だから高級ってわけではなくて、住民は全員ウイグル人であり、ウイグル人の孤児も住んでいたとのことで、当然、死亡者もウイグル人だったようです。
これについては昨日観たDWの動画で説明されていました。
建物に近づけないので離れたところから放水するしかなかったとされていますが、衛星写真から、それがどの程度の距離だったかをDWが確認。なおかつ出入口には外から鍵をかけられていて、非常階段も封鎖されていたとのことです。
出入口が閉じられていた映像はネットに流れて、そのひどさは伝わったとして(にもかかわらず、当局は責任逃れの会見をするのが中国の日常です)、ウイグル人が焼け死んだことと、ゼロコロナに対する激しい抗議のきっかけになったこととがどうつながっているのかは不明。ただ、「ウイグル解放」という言葉をプロテスターが口にしていますから、わかった上で抗議している人たちがいることは間違いなさそうです。
以上、訂正終了。
習近平が初めてゼロコロナに対する抗議にコメントした
最初から抗議行動を仕込んでいたとは思わないですが、中国政府が方針転換をしたかったところに、抗議が始まったため、渡りに船で、それを利用したというのが私の見方です。これに沿う動きが次々と起きています。
中国国内では、全土に抗議行動が拡大していることは報じられていないのですが、習近平が初めてそれを前提にしたコメントをしています。
これはサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)のブリュッセル在住の記者が報告していたもので、習近平がEU理事会のシャルル・ミシェル議長(EU理事会議長=EU大統領)と会談した際に、抗議をしているのは「3年間のパンデミックの間にイライラを高めていた若者、とくに学生がやっている」として、ともあれ抗議行動の高まりを認めた上で、「オミクロンの現在と違って、デルタの頃は致死性が高かった」も言っています。つまりは「現在はそれほどではない」ということであり、ゼロコロナの転換を示唆していると見られています。
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