松沢呉一のビバノン・ライフ

年に2回しか湯を入れ換えない老舗温泉旅館と鼻が曲がるほど体が臭い美人さん-(松沢呉一)

 

レジオネラ菌がうようよいる福岡県筑紫野市二日市温泉「大丸別荘」

 

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営業日は毎日湯を入れ換える銭湯と、数日に1回しか入れ換えない銭湯があって、数日に1回しか入れ換えない銭湯は、浴槽も数日に1回しか掃除しておらず、そのペースの清掃だとレジオネラ菌が繁殖するので、できることなら毎日入れ換えている銭湯に行った方がいい。毎日入れ換えているかどうかを銭湯の人に聞いても教えてくれないですが、ある程度は見抜けるという話を前に書きました

週に1回しか入れ換えない銭湯も実在していることを教えたら、銭湯のおばちゃんが驚いていましたが、上には上があります。

 

 

これは悪質。大丸別荘の湯の入れ換えは2年に1回!!!! しかも、県に対して噓までついてました。

温泉は不純物が多い分、浴槽が汚れやすい。井戸水も同じ。井戸水って、健康によさそうなイメージがありますが、都市部の井戸水は自然由来の成分だけではない不純物が混じっているため、飲めない旨が書かれていることもあって。その不純物が浴槽を汚すのです。

当然、大丸別荘では湯を循環させて、浄化装置を通しているのでしょうど、浴槽についた湯垢の中で細菌が増殖するので、それでは菌を抑えられません。その結果、基準値の3,700倍。感染症になった人がいたとのことですが、それ以外にも体調を崩した人もきっといて、まさか湯が原因とは思わないですから、発覚しなかったのではないか。

自治体によって違うのだと思いますが、1週間に1度以上が規定なのですね。たしかに、上の動画に出てくる大浴場の湯を入れ換えるのは手間がかかりそうです。おそらく檜なり杉なりの浴槽ですから、タイルと違ってタワシやモップで力を込めてゴシゴシやるわけにもいかんでしょう。あるいは高圧洗浄機でだいたい落ちるのかな。だったら楽ちん。

入れ換えをしないなら、殺菌のための塩素をたんと入れればいいわけですが、入れ過ぎると客が気づきます。実際、銭湯でも塩素臭が漂っていることがよくあります。井戸水は不純物が多いため、殺菌を徹底することが義務付けられていて、塩素臭い銭湯は湯を入れ換えてないってわけではないです。井戸水じゃないのに塩素臭い銭湯には湯を交換していないことがあるかもしれないけれど。

ほっといても湯が湧いてくる温泉もありますが、湯を汲み上げるのに金がかかる温泉もあるのですね。コロナ禍以降、入れ換えペースを落としている旅館やホテルが多いのではなかろうか。客が来なかったわけですし。

 

 

嗅いだことのない悪臭を放つ女

 

vivanon_sentence年に2回しか湯を入れ換えない旅館には驚きましが、それと匹敵するくらい驚いたことがあります。

昨日、バイト先の銭湯で、閉店後におばちゃんが消臭剤をまいてます。

「私が受付にいたら、お客さんが“中にいる女の体がすごい臭いので、気をつけた方がいいよ”って教えてくれて、脱衣場に入ったらホントに臭いんだよ。その女は洗い場にいて、臭いからすぐにわかったよ」

「えー、ホームレスとか?」

「全然違う。20代の若い女で美人なの。帰りに見たけど、着ている服も普通。オシャレというほどではないけど、こぎれいにしていて、銭湯に来るのにオシャレはしないでしょ。臭いのは年寄りならわかるよ。月に2回くらしか来ないおじいちゃんやおばあちゃんがいる」

高齢者が割引で入れる日だけ来るのだろうと思います。

「その人たちは半月に1回しかお風呂に入ってないし、服も洗濯していないから臭いのは仕方がないんだけど、若くてきれいにしているのに、なんであんな臭いのか不思議」

「体臭?」

「普通の体臭だったらわかるでしょ。ワキガとか。そういうニオイじゃない。たまに外国人で体臭の強い人がいるけど、それとも違う。あえて言うなら、ロシア人の体臭に近い」

知らんよ、ロシア人の体臭。

「ロシア人がみんなそんな臭いじゃないだろうけど、そのロシア人はそういう臭いだった。あと女の人だと生理の時に臭うことがあるけど、それとは違うし、生理の時にああも臭い人はいない」

 

 

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