松沢呉一のビバノン・ライフ

年に二回しか湯を入れ換えない温泉宿の衝撃は銭湯利用者にも及んだ—温泉の方が浴槽が汚れやすい説-(松沢呉一)

年に2回しか湯を入れ換えない老舗温泉旅館と鼻が曲がるほど体が臭い美人さん」の続きです。

 

 

二日市温泉・大丸別荘の社長が会見

 

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年に2回しか湯を入れ換えていなかった福岡県二日市温泉・大丸別荘の続報です。

社長が謝罪会見をしました。

 

 

 

ただ入れ換えていなかっただけでなく、虚偽の報告をし、検査の時だけは塩素を入れて偽装工作までやっていたと。

温泉地の旅館やホテルはなんとかコロナ禍を乗り越えてきたのに、これはないわ。スシロー・ペロペロ君なみに業界に与えた打撃は大きく、同業者が怒り心頭なのは当然です。他の宿はこんなことはないにしても、二日市温泉は客が激減でしょう。

私自身、レジオネラ菌で死に至る人が年間数十人もいることは数ヶ月前まで知りませんでしたが、ただの風呂好き、温泉好きじゃないんだから、温泉宿の経営者がこの程度の理解だとは呆れますよ。緊張しているせいかもしれないですが、社長は「レジオナ菌と言いますか」と言ってますしね。大丸別荘では死者までは出なかったにせよ、決められたルールも守れないのはまずいし、虚偽報告や偽装工作はヤバいでしょ。。

福岡県の条例で、源泉掛け流しの温泉は毎日湯を交換。浄化装置のついた循環湯では週に一回以上入れ換えるように決められています。逆じゃないかとも思うのですが、循環湯では常時入れ換えて浄化するため、より安全ということなのだと思われます。浴槽にこびりついた汚れで繁殖するレジオネラ菌は、掛け流しも循環湯でも等しく繁殖しますから、同じ二日市温泉の博多湯のように毎日湯を入れ換えて、清掃するのが理想。

清掃人の立場からすると、岩風呂の清掃は大変そうです。たわしでこするより、高圧洗浄機の方がいいんじゃないかと思うのですが、油脂の汚れはしつこくて、高圧洗浄機だけではきれいにならず、最後は手でこするしかない。岩風呂では、たわしより、柄のついたブラシがベストかな。

しかし、岩風呂だとタイルのようには汚れが目立たないので、手抜きも可能か。毎日清掃しているんだったら、少しくらい手を抜いてもいいと思いますが。

博多湯は毎朝6時から清掃とあります。早朝に入りたい客は大浴場に入れないですが、深夜に入りたい客もいるので、どんな時間でも入れない客が出ます。その場合は部屋についている風呂に入るってことで。

 

 

銭湯でもこの話題でもちきり

 

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温泉好きな人はもちろん、銭湯利用者の間でもこの報道は気がかりで、昨日、たまに行く銭湯に夕方寄ったら、風呂から出たじいちゃんたちが、脱衣場で、この話をしてました。

「年に2回しか湯を入れ換えてないって怖いね」

「温泉だったら、つねに湯が流れこんでくるので、入れ換えなくてもいいような気もするけどね」

大丸別荘を利用した人は「湯がヌルヌルしていた」と言ってますが、それはさすがに勘違いかと。温泉の成分のせいか、軟水のせいじゃなかろうか。

「あの旅館は循環湯みたいだから、湯が入れ換わっているようで入れ換わってない」

掛け流しと循環湯の併用だと思われます。

「循環湯は細菌が増えるって言うね」

「熱海なんてどこも循環湯だよ」

 

 

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