松沢呉一のビバノン・ライフ

昨日もロシアじゃ謎の爆発—ワグネルがバフムトから撤退することとの関係-(松沢呉一)

「クレムリンをドローンで攻撃したのは誰か」の議論が各国で続く—第三の可能性を改めて整理」の続きです。

 

 

どうにも止まらない

 

vivanon_sentence

昨日はロシア南部クラスノダールの製油所に4機のドローンが突撃。また、ロストフ州の製油所でもドローンが飛来して墜落した模様。

 

 

 

映像を見ると、ひとつのタンクが燃えただけにも見えますが、今の時期の攻撃は、「こっちも燃えたぜ。油断すんなよ」と脅すことが目的なので、これで十分。

クレムリンに対するドローン攻撃もまたプーチンを暗殺することではなく、建物を破壊することでもなく、攻撃できたことそのもので役割を果たしていますから、ウクライナにとってこそメリットがあったと思えます。

とくに9日の戦勝記念日の直前に軍事パレードが行われるそのすぐ脇の建物が狙われたわけですから、ロシアとしては大恥をかかないように、最大限の警備をするしかない。

多くの兵隊と軍備が戦地で失われ、現在も戦地に送り込まれている中で、軍事パレードを挙行する余裕はなく、モスクワ以外の各地のパレードが中止されていて、モスクワも規模縮小となっています。さらには中止にしたいというのがクレムリンの本音であり、それを正当化するための自作自演だとの説もありますが、いくらなんでも恥ずかしいので、それはないだろうと思います。

 

 

イリヤ・ポリマレフの信頼しきれない証言

 

vivanon_sentence

漏洩した機密文書にもあったように。モスクワにも攻撃をかけたいウクライナの一部勢力を米国が抑えているって話は十分ありそうです。ウクライナ正規軍はできないとして、政府なり、軍なりの傘下にある義勇軍はそこまで拘束されないため、ドローンを飛ばした可能性はありましょう。

やはり私はロシア正規軍でもウクライナ正規軍でもない第三の可能性が高いと思ってますが、それを支持する人たちはそれなりにいます。

 

 

イリヤ・ポリマレフについては「信用するに足らない」と私は判断していることはこれまでにも繰り返してきた通り。発言に根拠が伴っておらず、それを求めると「リスクがあるのでこれ以上は言えない」と逃げる様は、ロシア人版仁藤夢乃と言っていい。

それでも正しいことを言っている可能性がゼロではないので、眉に鍔をつけて意見を検討すべきかと思います。

CNNは何ら注釈なくこのインタビューを出しているのか、あるいはオリジナルでは注釈が入っているのに、テレ朝が省いたのかを確認したかったのですが、YouTubeではオリジナルが見つかりませんでした。

 

 

next_vivanon

(残り 1436文字/全文: 2614文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ