松沢呉一のビバノン・ライフ

ロシアがベラルーシを併合したらイスラエル軍が動く—国外脱出したロシア人たちの苦渋[11]-(松沢呉一)

世界でもっとも反露感情が強いポーランド—国外脱出したロシア人たちの苦渋[10]」の続きです。

 

 

いかにNATOは抵抗を準備しているか—How NATO is preparing to resist

 

vivanon_sentence前から書いているように、私は軍事に弱い。戦車の写真が1枚あるだけで、製造国、製造年、機種名、性能を言える人を尊敬します。

そんな私も、ロシアのおかげで、今までに比べるとずいぶん詳しくなりましたが、私がミリオタと自称したら、袋叩きにされて、「K-POPファンで北朝鮮とつながりのある人たちがジャニオタを偽装した(とちしか思えない)PENLIGHTかよ」と突っ込まれます。私はそこまで図々しくないので、自分がミリオタなんて決して言わないですが。

まだ知識が伴っていないですが、積極的な興味をもつようになっただけでも大きな進歩でありまして、軍事関連のドキュメンタリーはよく観ていて、以下の独DWの番組は、ウクライナの背後でNATO軍がどう動いているのかをよく見せてくれます。

 

 

とくにドイツとリトアニアをクローズアップしてますが、NATO加盟のオランダ、フランス、ノルウェー、チェコ、クロアチアなどによる共同戦線が組まれていることがよくわかります。他国籍軍では、スムーズなコミュニケーションが必須ですから、念入りな演習が欠かせません。

彼らは民主主義や自由、西側の価値観のために戦っていて、その裏には、それらを踏みにじったソ連とナチスの記憶があります。とくにソ連の記憶は元ソ連圏の国々をして対露戦略の要にしていて、ロシアのウクライナ侵攻が切実な恐怖となっている事情までをこのドキュメンタリーは伝えています。

複数の女性兵士が登場し、その一人は女であることの困難を感じつつ、「自分は彼らの模範になるようにしていて、私ができるのだから、(男たちは)自分にもできると思える」と努力したことで信頼を得たことを語ってます。ここでは弱者アピール、被害者アピールは信頼を遠ざけるのであって、「だったら、邪魔だから、家に帰って寝てろ」になるだけです。

平時はそれが通用し、同情する人たちが現れ、公金を注ぎ込み、結果、「女は無能で無力」という扱いが固定し、仁藤夢乃みたいなのがはびこります。

 

 

NATO体制におけるポーランドの役割

 

vivanon_sentenceポーランド兵は出てこなかったと思いますが、ポーランドが重要な役割を果たしていることもわかります。NATO軍はポーランドに配備されていますし、リトアニアに配備されるNATO軍備も人員も、ウクライナに供与される軍備や支援物資も、ポーランドの北を通るフェリーかポーランドを経由する陸路で移動しています。

上のドキュメンタリーより。

 

 

ロシアはこの経路を潰しに来るかもしれない。そこまで至らないとしても、何がどこにどれだけ配備されたのかを知るためにスパイを送りこんできそうですから、厳重な警備がなされています。

地図を見ると明らかなように、ベラルーシは、ウクライナ戦争が始まって、ウクライナ経由の物資が遮断され、西からの最重要な陸路がポーランドとなり、ポーランドはベラルーシとの国境を完全封鎖。

3月の動画。

 

 

これによって、ベラルーシはロシアとの結束をかえって強めたのではないかとの疑惑もあります。

それがよかったかどうかは置くとして、陸路の管理という重要な役割を果たしつつ、ポーランド自身、急速に軍備を増強しつつあります。

 

 

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