松沢呉一のビバノン・ライフ

自爆ドローンがモスクワ近郊の飛行場を攻撃—「プリコジンの乱」その後-(松沢呉一)

 

 

モスクワ近郊の空軍基地または国際空港への自爆ドローン攻撃

 

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プリゴジンの乱」によって、ロシア軍内部にも動揺が広がって、ウクライナの反転攻勢が少しは有利になったところがあるのかもしれず、各地でウクライナ軍の攻勢が進捗していると伝えられています。

珍しくウクライナ軍が前線の動画を公開。

 

 

本当に最前線を撮ったものかどうか不明。

ひさびさにモスクワに対する自爆ドローン攻撃もありました。

 

 

情報が錯綜していて、正確なことがわからないのですが、4機か5機のドローンで攻撃し、ロシア側はそれらを撃墜したと言っています。

後半の映像は、撃墜されたドローンの破片が民家に墜落したものと判断でき、目標はモスクワ近郊にあるクビンカ(Кубинка)空軍基地あるいはヴヌーコヴォ(Внуково)国際空港だった模様。前半に出てくる黒煙が空軍基地に着弾したものとも思われ、どの程度の戦果があったのかは今のところ不明ですが、クビンカ空軍基地はロシア航空宇宙軍の最重要基地とのことで、被害の大きさにかかわらず、この基地が攻撃されたのだとすると大きな意味がありそうです。ヴヌーコヴォ国際空港に着弾したのだとしても意義は同じで、やはりロシア国内の防衛体制は脆弱です。

ウクライナ側もこれについては報じてますが、ウクライナ軍がやったという公式の発表は今回もないようで、政府軍がやったのか、ロシア自由軍やロシア義勇軍がやったのか、国内パルチザンがやったのかは不明。国内パルチザンではここまでできないでしょうが。

ウクライナ東部、南部の激戦地では、いくらかはウクライナが有利に進めているとは言え、ウクライナ側も相当苦しめられているので、ロシア国内への攻撃に力を入れた方がいいのではないかと素人としては考えたくなります。

 

 

ベラルーシの難民を武器にした攻撃

 

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セルゲイ・スロヴィキン航空宇宙軍総司令官とその部下数名が拘束された件は続報がなく、なお尋問が続いているとも言われますが、どう決着するのか誰も読みきれない。しかし、プーチンは「プリゴジンの乱」で相当に神経をすり減らしているので、大粛清になる可能性が高く、それで軍がボロボロになりますように。

ポーランド・メディアが報じていたのですが、戦士したワグネル軍兵士の墓に添えられていたロシアの国旗が撤去されているようです。刑事的な罪は問わないとしながら、ワグネルの存在を完全に消そうとしています。ロシア政府からの金も途絶えるので、弔慰金や給料も支払われないでしょう。

肝心のプリゴジンは、ワグネルの本部があるサンクトペテルブルクに戻っているとの説もあり、残務整理をやっているのかも。プーチンが手出しできないように、彼は彼で握っている秘密を公開する準備をしていそうです。狡猾さではプーチンに負けない。

ただ、プリコジンについていく兵士は2万人のうち千名程度しかいないとされていて、弱体化することは避けられそうにないですが、このままではプリゴジンは蜂起した意味がないので、さらになんか考えているのではなかろうか。

 

 

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