韓国で詐欺が多い理由—犯罪に表れる国民性[中編]-(松沢呉一)
「韓国の犯罪トップは詐欺—犯罪に表れる国民性[前編]」の続きです。
日本人は同僚の電話番号を知らないんだってさ
では、韓国で詐欺が多い事情をどう説明しているのか、具体的に見てみましょう。
これは、「韓国で詐欺が多い理由」を自動翻訳して、検索トップに出てきた記事であり、何らかの意図の元に選択したものではありません。
「韓国人がよく詐欺に遭う理由」と題されたこの長文記事の半分以上は韓国の国民性に費やしています。
国民性の話に入ってすぐに出てくるのは以下。
例えば日本は友だちを作るのが難しい。
日本は10年間も一緒に勤務した職場の同僚の電話番号を知らない場合が多い。
何を根拠にこんなことを言っているのか、まったくわからないのですが、例えば、日本の若い世代は、忘年会や新年会、社員旅行のような仕事以外のイベントに出たがらず、ふだんも同僚と飲みに行くことが減っていることを曲解したものか? これは、職場と個人の時間を分けたがるってことであって、10年間勤務した会社の同僚の電話番号を一つとして知らない人もいるかもしれないけど、稀でしょう。
私的な時間では、家族と過ごす以外に、贔屓のサッカーチームの応援に忙しかったり、所属している草野球チームの練習に忙しかったり、アイドルの追っかけに忙しかったり、地元のイベント準備で忙しかったりするわけです。同僚とは行かなくても、飲み仲間のいる飲み屋に毎日通っている人もいます。
そういう現実を見ることなく、どっかで聞きかじった話を持論に都合よく曲解した代物です。
的外れな分析
そもそも、「なんで自国の国民性を論ずるのに日本人を引き合いに出すんだ?」と思った方がいらしゃるかもしれません。これはいつものことです。こういうタイプの韓国人の頭の中にある世界地図は、半分くらいが韓国で、残りが日本と中国で占められていますから。視野が狭いのです。
この記事には、中国も出てきますが、日本同様、韓国人の良さを浮き上がらせるための比較として出しているだけです。
日本人が自国の国民性を語る時に、比較として韓国を出しても、日本の特性が浮かび上がることが期待できない感じがします。例えば、個人主義という点で日本を考える場合、韓国は日本よりポイントがうんと低いですから、ポイントがうんと高いオーストラリアや英国と比較した方が差が明確になります。
近いからこそ、見出せる差に意義が出る場合もありましょうから、ここはまあいいとして、友だちを作りにくい日本に対して、韓国はこういう国だと言ってます。
初めて会うと、年齢で兄、弟で配列を決めて、一晩飲み飲むと翌日から親しくなる。
(略)
だから韓国人は他人を簡単に信じる傾向がある。
簡単に信じるから、詐欺師に騙されると言いたいのです。
この一文では、韓国は他人を信頼する「高信頼社会」ということになってますが、国際的な調査では「他人を信頼しない低信頼社会」であると「朝鮮日報」が書いてます。これは幸福度調査で知られる世界価値観調査の数字に基づいており、日本は韓国より他人を信頼する度合いが高いのですが、似たり寄ったりではあって、世界の半数以上は韓国や日本より他人を信頼しやすい。つまり、「他人を信じるから詐欺が多い」という論はまったく成立しません。もっと視野を広げて、数字を調べた方がよろしいかと。
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