松沢呉一のビバノン・ライフ

赤の他人なので親身にはなれないのだけれど、真木よう子のアルコール依存症は相当進行していそうなので、事務所は力づくでも入院治療させた方がいいと思う-(松沢呉一)

 

メンヘラの表現者たち

 

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元祖VTuberエイレーンと中国共産党系一族(?)との金銭トラブル—アニメ娘「エイレーン」再出発プロジェクト」に書いたように、「表現をする人は精神を病んでいても、生み出すものがよければ問題なし、むしろ病んでいるからこそ魅力的なものを作り出すことがある」といった内容を書きました。芥川龍之介有島武郎太宰治三島由紀夫川端康成など、自殺した作家たちはだいたいメンヘラでしょう。なんて言うと怒られそうですが。

小説家より画家の方がもっと病んでいる人が多そうです。ゴッホのように自殺したのもいますし、ムンク草間彌生のように精神病院に入った画家も少なくなく、精神疾患と診断されたのは数知れず。漫画家にもいます。

小説家や画家、漫画家は、人との接点は最小限でいいので、精神を病んでいても、性格が悪くても、だらしがなくても、そんなに支障がないのに対して、芸人は人と接する場面が多いので、病み方次第では支障が生じますが、現実に鬱になったり、病名を公開している芸人もいます。

このところのプラスマイナス岩橋も、病気だからこそ面白かったですけど、あれは計算でできることではないので、コントロールが難しく、コントロールができるくらいなら、ああはなってません。

前に書いたように、私も子どもの頃に強迫観念に襲われていたので、強迫性障害の症状はある程度理解できるのですが、プラスマイナス岩橋の「言ってはいけないことを言ってしまう」という症状はリアルには理解できない。しかし、「〜してはいけない」「〜しなければならない」は表裏であって、交換可能です。私自身、どっちの方向もありました。強迫観念のボックスにはなんでも入りますから、「こういう症状もあるんだろう」と頭では理解します。

こんな想像してはいけないかもしれないですが、そのボックスに「死」を入れると、「死んではいけない」になるか、「死ななければならない」になります。子どもの頃の私は体が弱かったことによる死の恐怖があって、その恐怖を回避する儀式が強迫観念になっていたため、そこは揺るがず、「死ななければならない」なんて発想は出てくることはありませんでしたが、これとは別文脈で、死に惹かれるところはあったので、やはり表裏です。

✳︎六本木クリニック「無料OCDチェック(強迫性障害テスト)」 強迫性障害は、病院に行って簡単に治るものではないですが、楽にはなるので、「もしかすると」と思ったら、こういうチェックテストをやってみて、高ポイントをゲットしたら、いっぺん病院に行くのもよろしいかと。

 

 

私の知っているアルコール依存症患者たちときれいに重なる真木よう子

 

vivanon_sentenceでも、喫緊の問題として、より危険なのは真木よう子のように思えます。以下はあくまで私の見立てで、もし違っていたら、ごめんなさい(検索してみたら、SNSでは多数指摘されていますが、細かな指摘をしたものが見当たらなかったので、私なりにやっておきます)。

「酒癖が悪い」というレベルではなく、あの人は高い確度でアルコール依存症でしょう。しかも、相当進行していそうです。そう考えると、彼女の言動は納得できることばかりです。

これも前に書いてますが、近いところに、アルコール依存症と診断されたのが複数いる、あるいはいたので、どういう行動になるのかはだいたいわかってます。私自身は酒を飲まないので、強迫性障害ほど生々しく理解はできないですが、その分、客観的に見られるところがあります。それが間接的な理由でもう亡くなったのもいますので、最後はどうなるかもわかってます。

真木よう子は記憶をなくすことが以前からあったそうで、たびたびそれが起きていたのであれば、脳の萎縮がもう始まっていて、専門の病院に行けば、アルコール依存症のみならず、アルコール性認知症と診断してもらえます。記憶障害だけでなく、しばしば感情のコントロールができなくなる症状を伴います。泣いたり、叫んだり、怒りを物にぶつけたり。

 

 

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