松沢呉一のビバノン・ライフ

「SHOGUN 将軍」で姫カットが人気に—文化盗用とパクリ[1]-(松沢呉一)

 

1960年代から70年代に日米で姫カットブーム

 

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韓国の総選挙で、「共に民主党」が圧勝。簡単に右から左、左から右に揺れる国民です。前回の不買運動の際に、韓国を撤退した企業が多いので、ダメージはさほどないでしょうが、増大していた親日派が叩かれそうです。大半はあっという間にあっちに戻るだけでしょうが。

今回は、そこにつながる話。

またも「頼むぜエディタ」から。

 

 

 

私の世代にとって姫カットは麻丘めぐみですわ。当時、あの髪型をなんと呼んでいたか覚えてないですが、「私の彼は左ききカット」かな。

この動画の中に、シェールが姫カットにしている写真が出ています。中学生の私はシェールの「悲しきジプシー」がムチャクチャ好きで、聞いたまんまのインチキ英語で口ずさんでいたものです。1971年の曲。

写真はソニー&シェールのもので、撮影年がわからず、別の写真を探してみたら、1点だけありました。1966年のクレジットがあります。確かに姫カットです。

1966年の動画も見つかりました。

 

 

客席にもそれっぽいのがいます。この時代に流行っていたのか、シェールのファンが真似していたのか。

シェールが姫カットにしていたのはこの時期だけと思われ、これはどこから来た髪型なのでしょうか。日本オリジナルの姫カットでは、おでこにも小さく垂れてますから、現在の姫カットとは違っていて、現在の姫カットはシェールが始まりか。

麻丘めぐみのデビューは1972年ですから、麻丘めぐみは日本の伝統を踏まえたのでなく、シェールの影響である可能性もありそうです。

生身の人間として、麻丘めぐみ以前に日本でやっていた著名人がいた記憶はないですが、フィクションの中のお姫様がやっていたかもしれない。シェールが見たとは思えないですが、「あんみつ姫」がやってたかも。

 

倉金章介『あんみつ姫』 (1951)

こちらに売りに出ているものから借りました

 

姫カットではないみたい。

あんみつ姫が姫カットになるのは、1986年の竹本泉版からです。

 

 

 

1974年に映画「愛と誠」でデビューした早乙女愛も姫カットでしたが、あれは原作(1973〜1976)がそうなっていたためで、おそらく麻丘めぐみがヒントでしょう。

また、1976年から翌年にかけて米国で放送されたTVドラマ「Mary Hartman, Mary Hartman」の主人公を演じたルイーズ・ラッサーもアレンジ型姫カットです。

 

 

多くはこの髪型ですが、回によっては編んでいないこともあります。

1960年代から70年代に、近代初の姫カットブームが日米で巻き起こったのです。

 

 

シンガポールの姫カット

 

vivanon_sentence「世界中で大人気」と言っても、実際は実際はたいしたことがなかったりもするものですが、「hime cut」で検索すると、なんぼでも引っかかります。英語読みだと、「ハイム・カット」になりそうですが。

美容関係の情報サイトはもちろんのこと、ヘアサロンが出しているサンプルが多数引っかかり、相当浸透していることがわかります。

 

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