【ロック、こんなことを歌ってます】 セックス・ピストルズ「プリティ・ヴェイカント」 ・・・パンクってぶっ壊せとかそんなこと歌ってたんじゃないの!?(久保憲司)
「ロック、本当はこんなこと歌っているんですよ」の「チャイニーズ・ロックス」の回で、次はセックス・ピストルズの「プリティ・ヴェイカント」がどんなこと歌っているか書きますと告知時間がしてから時間が経ってしまいましたが、「プリティ・ヴェイカント」をやりたいと思います。
「チャイニーズ・ロックス」というのはドラッグ・ソングというより、前の世代(ヒッピー)へのアンチ・ソングだと書きましたが、「プリティ・ヴェイカント」も実はそういう歌なんです。
バンド名がセックス・ピストルズなんで、可愛い穴とかそういう卑猥な歌なんじゃないかと思う人も思いかと思いますが、このプリティは可愛いじゃなく、プリティ・マッチのプリティの“かなり”という意味です。ヴェイカントは穴というより空虚と訳した方がいいと思います。俺たちかなり空虚と歌っているんです。なかなか哲学的なバンドですね。
空虚ってなんのこっちゃですが、日本でわかりやすく言えばしらけ世代ということです。俺たちしらけ世代だよと歌っているんです。「えっーパンクってぶっ壊せとかそんなこと歌ってたんじゃないの!?」と思われるかもしれませんが、実はぜんぜん違うんです。
「アナーキー・イン・ザ・UK」でぶっ壊せと歌っていますが、建物壊せとかそういうことじゃなく、ちゃんとあるものをぶち壊せといっているのです。それは「プリティ・ヴェイカント」で歌われているものと同じです。
「プリティ・ヴェイカント」の元ネタとなったのがジョン・ライドンのファッションにも多大な影響を与えたリチャード・ヘル&ヴォイドイズの「ブランク・ジェネレーション」です。ブランク・ジェネレーションというのはどういう歌かというと僕たち空白の世代と歌っているんですね。空白と空虚一緒ですね。
「ブランク・ジェネレーション」には元ネタがあって、元ネタというより替え歌ですが。「ビート・ジェネレーション」という歌です。ビート世代というのはどういう世代かということを歌っているです。どういうことを歌っているかというと
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