【世界のロック記憶遺産100】 MC5『Kick Out The Jams 』 ・・・何回聴いても俺を宇宙に飛ばさしてくれる、カウンター・カルチャーを記録した血沸き肉躍るアルバム (久保憲司)
パンクのゴッドファーザーとして評価されるMC5のデビュー・ライブ・アルバム『Kick Out The Jams 』、みなさんもなんとなく知っていると思うが、ほとんどの人が「「マザーファッカー」と言って、発売禁止になったからすごいんだろ」くらいにしか思っていないのではないでしょか?、または海外では、なぜこのレコードを聴いてみんな血わき躍るのか不思議なんじゃないでしょうか。
クラッシュのミック・ジョーンズはMC5のギターリスト、ウェイン・クレイマーに「ジェイル・ギター・ドアーズ」という曲を捧げています。
なぜ、「ジェイル・ギター・ドアーズ」かというと、この曲が作られたころ、ウェイン・クレイマーはドラッグの売り買いで刑務所に入っていたんです。
ウェイン・クレイマーが刑務所に入っていたころ、パンクが世の中を騒がせていて、ワールド・オブ・ニュース(向こうの東スポです)なんかで、“パンクのゴッドファーザーはMC5だ”と書かれていたりするのを読んで、ウェイン・クレイマーは“こんな記事読まれたら大変だ”と、ゴミ箱に捨てていたそうです。
パンクとは刑務所の隠語でカマを掘られた奴という意味で、自分が世間でパンクのゴッドファーザーと言われているなんてことが知れ渡ったら、刑務所の先輩から何をされるか分からないとビビっていたみたいです。
パンクって実はこういう意味だったんです。
パンクの前のムーブメントであるヒッピー・カルチャーがすごくドラッグとリンクしていたから、その反動でパンクはアンチ・ドラッグのユース・カルチャーだったのに、なぜMC5の奴はドラッグの売買で捕まっているんだよ、許せないな、と子供のころ思ってました。
パンクもアンチ・ドラッグといいながらスピードとリンクしたカルチャーだったんですけどね。
あのサイケデリックなジャケットもどうかなと思ってました。今はかっこいいかなと思ってますけど、ドアーズのジャケットを撮っていた ジョエル・ブロッドスキーが写真を撮っているんですよね。
こんな僕なんですけど、なぜ今MC5のこのアルバムが好きかというと、僕はこのアルバムは唯一カウンター・カルチャーを記録したアルバムじゃないかと思っているからです。やっぱこのアルバムで何回聴いても興奮するのはスピリチュアル・アドバイザーのブラザー・JC・クロフォードのMCだと思うんです。
日本盤に訳のってないので僕訳しときます。これ見ながら聴いて見てください。絶対興奮すると思います。
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