チャック・ベリーはキース・リチャーズを殴りつけ、「キャロル」のイントロのギターは間違っているといった(久保憲司)
ついにというか、そろそろだろうと思っていましたが、やってきてしまいました。ロックンロールの神様が死んでしまいました。
ここ20年くらいはセント・ルイスのブルーベリー・ヒルというレストランで毎月1回ライブをやっていたので、死ぬまでに一度は見に行きたいなと思っていたのですが。なかなかしょっぱいライブなんですけど、でもやっぱり神様に死ぬ前に会いたかったです。
神様なんて信じてないんですけど、ロックンロールには神様はいます。チェック・ベリーです。この人が作ったのです。
呆然としてしまいます。90歳のおじいちゃんだから別にこれからの音楽に貢献することもないですけど、神様が死んでしまうとちょっと考えてしまいます。
神様がいなくなってしまったんです。僕らはどうしたらいいんでしょうね。
いや別にロックはこれからも転がり続けるでしょうが、チャック・ベリーが発明したようなことがこれからまた僕らの前に起こるのか?神様に聞いてみたかったですよ。どうやって発明したん?と。
ロックン・ロールは映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で描かれたように、時間のパラドックスで生まれたとしか思えない。ロックンロールという音楽は突然変異としか思えないのです。
もちろん、ロックンロールのルーツはジャズでね…という説明は出来ます。でもね、大人の音楽だったジャズ、R&Bに、なぜ黒人の兄ちゃんだったチャック・ベリーは白人のティーンエイジャーが好きだったもの、女の子、車、パーティーなんてものをぶち込もうと思ったのか、きいてみたかった。
彼がなぜこのようなアイデアを閃いたのか?白人のプレスリーも気づいてなかった、それまでは音楽は大人の音楽であり、それでみんな満足していた。それを子供のものにしようとした時、革命が生まれたのだ。チャック・ベリーが閃いたことが、のちのカウンター・カルチャーまで繋がっていく。
きいてみたかった、でも怖くってきけなかった、チャック・ベリーには下手なことはきけない、きいたら、殴られる。キース・リチャーズは殴られた。楽屋からお姉ちゃんと出ようとしていたチャック・ベリーを呼び止めたら殴られた。
殴るか、神様だから仕方がない。キースはいつか殴り返してやろうと機会をうかがっている。というわけでチャックといつも一緒にいるために映画「ヘイル!ヘイル!ロックンロール」を作ることにした。そうすれば殴り返す機会も生まれるだろうと。
けれど、本心はロックンロールの神様が毎回自分のバンドを持たずにいつもしょぼいライブをしていることに不満を持っていたからだ。俺の神様はこんなじゃない、こんな神様を俺は殴り返せないという気持ちだったのだ。
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