久保憲司のロック・エンサイクロペディア

デペッシュ・モード “Speak and Spell” なんでアナログ・シンセの音って、こんなに胸が躍りながらも癒されるんですかね

 

最高のアコギ・サウンドは、エレクトリック・ギターの音は、と色々書いてきましたが、一番気持ちいいシンセの音は、デペッシュ・モードの1枚目『スピーク・アンド・スペル』だと思います。

本当のことを言うと、クラフトワークの『ザ・マン・マシーン』のシンセの音が一番という気もするのですが、やっぱデペッシュ・モードの元気な感じは、今聴いても、なんか心がアップするのです。

 

 

しかし、なんでアナログ・シンセの音って、こんなに胸が躍りながらも癒されるんですかね。

もっと本当のことをいうと、シンセサイザーのお手本の音と言えば、ビートルズの『アビー・ロード』です。

えー、ビートルズでシンセサイザー!と思う人も多いと思いますが、『アビー・ロード』はシンセのいい音の玉手箱なんです。

 

 

 

「マックスウェル・シルヴァー・ハンマー」のシンセの音とか最高ですよ。チューバを再現してんですかね(すいません、クラッシックのことが分からず)、これぞアナログ・シンセの音!「アイ・ウオント・ユー(シーズ・ソー・ヘヴィ)」のプログレ・バンドも真っ青のホワイト・ノイズの使いかた、天才でしょ。あと「ビコーズ」「ヒア・カム・ザ・サン」など、最高すぎます。

メロトロンといいほんまなんでも最新の楽器はビートルズがうまく使いこなしています。シンセを作ったモーグがわざわざスタジオに来て、セッテングとか全部教えていったんですかね。すごい王道パッチを使っているような気がします。ストーンズにも同じように納入したと思うのですけど、ビートルズはちゃんと使いこなしているのはセンスがいいというか、天才というか、なんなんでしょうね。クラフトワークは試行錯誤しているなって思うのですけど。

こういうお年寄りと比べて(失礼)、デペッシュ・モードの音はハツラツとしているのです。今はもうどっちもおじいちゃんですけどね。当時は15歳も離れていると、すごい大先輩のような気がしましたが、もう60歳過ぎたら、ほとんど全部一緒ですよね。デペッシュももうみんな60歳超えですよ。『スピーク・アンド・スペル』の「ボーイ・セイ・ゴー」で、

 

男の子たちは、男の子たちと出会う 一緒になろう、永遠に 君は分かってない、これは正しい要求、君に教えてあげる。自分の心に聞いて、僕を連れてって、昼も夜も君を知ろう

 

 

この曲聴くと、完全にイギリスのクラブで、男の子が男の子に頑張って声をかけようとしている、光景が今でも目に浮かびます。日本でいうと2丁目の入り口で、自分が同性愛なのか、どうなのか迷っていて、そこに入っていこうか、こんな世界に入ったら、ダメだと悩んでいる感じですね。

 

続きを読む

(残り 1438文字/全文: 2759文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

tags: Depeche Mode

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ