ニール・ヤング 『ライク・ア・ハリケーン』永遠に続くかのようなリード・ギターがいいのです。本当にとべますよ。
一番のギター・ソロはロックンロールの殿堂で、プリンスが演奏した「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」と書きましたが、自分でこんな風なリード・ギターを弾いてみたいと思うのはニール・ヤングのリード・ギターです。
ペンタトニック、一発のリード・ギターなのですが、本当に味があります。ペンタトニックというのはその言葉通り、5つの音を使った音階で、コードがAの時はその位置(ポジション)で、その5つの音を弾けば、「あら不思議」素人が弾いても、音が合っているように聴こえるのです。
「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」のギター・ソロはまさにそうやって作られていて、ビートルズのレコーディングでこれを演奏したエリック・クラプトンはそのペンタトニックをメジャーとマイナーを巧みに組み合わせて完璧に弾く天才なのです。クラプトン・イズ・ゴッドと言われる所以です。
ジョニー・サンダースはコードが変われば、そこに位置をずらしてリードを弾く、思わず「子供か!」って叫んでしまうのですが、そのチープさがかっこいいのです。プロは各自自分のカラーを持っています。
で、ニール・ヤングはもう何があろうと、Aマイナーのペンタトニックと決めたら、もうそれを5分でも引き続けるわけです。「ちょっとメジャーをいれたろ」とか、「ブルーノートたそか」など、そんなクソ賢いことはしないのです。でも、彼のギターを聴いていると、天国に連れてってもらうかのような感じになるのです。「ライク・ア・ハリケーン」のリード・ギターとか聴いてみてください。本当にとべますよ。
ジョニー・サンダース以上のリヴァーヴがかかっていて、高音にいくとブチブチ音が言っています。普通のプロデューサー、エンジニアだったら、撮り直しって言うんですけど、誰がそんなことをニール・ヤングに言えます。
ニール・ヤングは売れた金で農場を買ったのですが、それはきっと大音量でやりたいからなのだろうなって、今は思います。パンクだった僕は、農場を買ったニール・ヤングをこの似非ヒッピーがと思っていました。今は僕も歳をとって、農場買ったり、漁場買ったりする気がします。ヘミングウェイの「老人と海」を夢見て、ボートの免許とりました。
農場を買ったら、なんかその農場にはお爺ちゃんが住み着いていて、と作った歌が「オールド・マン」です。
ニール・ヤングは、セックス・ピストルズのジョン・ライドンのことを歌ったら、「ビニールの無駄」と言われた男ですよ。
というわけで、僕も大嫌いだったのですが、今はその嫌われた曲、本当によく出来ているなと思います。ちゃんとパンクをやろうとしたのが伺えます。そんな固まった僕の心を解放してくれたのは、ティーンエイジ・ファンクラブの前身バンド、ボーイ・ヘアドレッサーズをオレンジ・ジュースの前座で見た時です。すぐにニール・ヤングのレコード買い直しました。そして、セイント・エティエンヌ、グランジと、ニール・ヤングの良さを教えてくれる人たちがたくさん出てきました。
ニール・ヤングってシンガー・ソング・ライターだろうって思っている人も多いと思うのですが、リード・ギターが永遠に続くかのようなリード・ギターがいいのです。
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