イラン革命の失敗を宣言したラッパーのトゥーマジ・サレヒが逮捕された—戦争しか解決の道はないのか?-(松沢呉一)
気楽にできるプロテスト
BBCによると、マッサ・アミニが亡くなって40日目の墓参りの日が、これまでで最大規模のプロテストだったとのことです。弾圧を強化し、200を超える人々を惨殺しても効果がない。あるいは弾圧を強化し、多数を惨殺したからこそ、イランの人たちは闘いをやめません。
誰もが死を覚悟はできないですが、これだったら誰でもできそうです。
イスラムの聖職者(だけではないですが)がかぶるキャップは国や言語によって名称が違い、ペルシャ語ではアラグチンと呼ぶようです。これなら女子でも私でもできますし、ここで留まれば罰金で済むんじゃないでしょうか。
イランで闘う人たちに捧げるプロテスト・ソング
ここまで見てきたように、イラン国外にいるミュージシャンたちがこぞってプロテスト・ソングを発表しています。
以下はボウランドというイタリアのバンドです。バンドのサイトが閉鎖されているようで、確認ができなかったのですが、ペルシャ語も使っているので、メンバーの誰かが、あるいは全員がイラン人だと思われます。「イランで闘うすべての人々に捧ぐ」とあります。
自分らのYouTubeチャンネルではなぜか公開しておらず、Facebookに出しているのみ。この動画は英国拠点のペルシャ語放送が出しているものです。
コールドプレイ+ゴルシフテ・ファラハニ+シェルヴィン
マッサ・アミニの死以降を象徴するプロテストソングとなった「Baraye」で逮捕されたシェルヴィンですが、数日後には保釈され、彼は「国外の政治団体に利用されている」として投稿した動画を消し、その後は沈黙を続けています。政府からの弾圧があったのでしょう。拒否すると実刑にされかねないですから、従うしかない。
YouTubeにオリジナルを投稿すると削除されるため、オリジナルを避けて、「Baraye」はカバー曲が出続けています。これは本人でも削除依頼を出せない。
そんな中、数日前に公開されていたコールドプレイのライブが秀逸でした。
単なるカバーではなく。フランスに住むイラン人女優のゴルシフテ・ファラハニとシェルヴィンをゲストに迎えた形です。しかし、これもオリジナルを使用しているので、削除されるかもしれない。
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