BABYMETALの「Monochrome」のメッセージにやっと気づきました—再度キズの「黒い雨」-(松沢呉一)
BABYMETALの新譜「Monochrome」をうっかり素通りしてた
ちょっと前にYouTubeが再生BABYMATALの新譜「Monochrome」をオススメしてきたので聴いたのですが、私が受け取ってきたBABYMETALらしさが失速しています。本人たちも画面に出てこない。「BABYMETALとしてはキツくないか」と思いました。
軽く一回観て、それっきりだったのですが、あの曲は核戦争に対しての反戦歌だという解釈がなされていたので、改めてMVを観ました。
確かにこれは核戦争だと私も理解しました。「一回聴いてわかれよ、オレ」って感じがありますが、ボーっとしてました。
よく見ると、画面にきのこ雲らしきものが何度か登場しますし、傘は黒い雨を防ぐためでしょう。崩壊した都市を前に言葉を失いながらも、「ボクらの虹色の夢を破壊したモノクロームの花火に対して、笑って虹色で世界を塗り直す」って内容。
ひとたび破壊された世界を何万年かかっても再生しようと決意しているのだとも、「モノクロームの花火」で脅すプーチンにたった今虹色で対抗することを呼びかけているとも読めるのですが、虹は雨の後に出るものですから、時制はすでに核兵器は使われた後なのだと思います。過去だけでなく、未来完了を含めて。
何度も聴いているうちに、すっかりこの曲を好きになりました。
広島出身のSU-METALと被爆樹木
SU-METALは広島出身で、インタビューで原爆のことを語っているんですってね。この曲のリアクション動画で、BABYMETALファンの外国人が涙を流しながら言ってました。
熱心なファンはそのことを踏まえて、このMVを観るので、すぐにこの曲のメッセージを受け取れるのでありましょう。決して急に言い出しているわけではないのです。
傘を指している少女がポニーテールなのは彼女がSU-METALであることを示唆し、再生を象徴する木は被爆樹木だとの指摘もなされています。
被爆樹木ってなんだ?
被爆した160本の木が保存されていることを私は知りませんでした。それらの木に実った種から2世の苗木が各地に広げられていて、東京にもあちこちにあるんですね。
「Monochrome」はこの国で現に起きたことを歌っています。破壊された町を虹色で塗り替えた広島。
なぜ過去の歴史を今歌うのか。
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