松沢呉一のビバノン・ライフ

セベロドネツクの9ヶ所で山火事—対独戦勝記念日の今日、何が起きるか-(松沢呉一)

ロシアの作家ザハール・プリレーピンが乗った車が爆破された—ウクライナ軍が関与か?あるいは未知の組織アテシュが関与か?」の続きです。

 

 

ワグネル撤退はなくなったか

 

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結局、ロシア国防省はバフムトのワグネル軍に弾薬を送ることになって、ワグネル軍の撤退はなくなったよう。

 

 

もともとそれを狙ってプリゴジンが脅しをかけたと言ってよさそうです。

そのためにプリゴジンがクレムリンにドローン攻撃を仕掛けたのかどうかまではわからないですが、もしこれがプリゴジンによるものであれ、ロシア軍の自作自演であれ、パルチザンによるものであれ、ロシア国内はいよいよ不穏な空気に満ちてきていそうです。

後半に出ている焼夷弾は白リン弾と言われています。

こちらの映像がよりわかりやすい。

 

 

改めて調べてみると、白リン弾は非人道兵器と言われながら、条約で禁止されてはいないようです。

しかし、焼夷弾自体、1983年に発効した「特定通常兵器使用禁止制限条約」(CCW/Convention on Certain Conventional Weapons)の「附属議定書3」で禁止されています。当時はそんな条約はなかったにせよ、太平洋戦争で日本は大量に使用されたわけです。

条約には署名していても、附属議定書には署名していない国もあるのですが、国連による締結国のリストを見ると、ロシアもウクライナも附属議定書込みで署名しています。焼夷弾の使用というだけでアウトです。なにより民間人が住むエリアを攻撃しているというだけで国際人道法違反です。戦争犯罪。

 

 

セベロドネツクで大規模な山火事

 

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その後もロシア領内では火災が起きていますけど、「謎の爆発」「謎の火災」といったものではないので飛ばすとして、ロシアが支配するウクライナのセベロドネツクのクルガンでは、9ヶ所で山火事が発生。

 

 

昨日になってうちひとつは消火したと報じられていますが、残りは燃え続けています。また、3ヶ所は局地化したと報じられています。他のエリアに延焼することがなくなったという意味でしょう。残り5ヶ所はなお燃え盛っている状態。

ロシアでは山火事は恒例行事ですが、これまでウクライナでこれほどの規模の山火事が起きていたのかどうかは不明で、こういうタイミングですし、9ヶ所で同時火災ですから、疑わないではない(1ヶ所から始まって9ヶ所に飛び火したのか、それぞれ別なのかも不明)。

 

 

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