松沢呉一のビバノン・ライフ

ベルゴロド戦にポーランド義勇軍も参加—国外脱出したロシア人たちの苦渋[9]-(松沢呉一)

ラトビアの補足とエストニアとの比較—国外脱出したロシア人たちの苦渋[8]」の続きです。

 

 

カホフカ・ダムの決壊は誰が?

 

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ヘルソン州カホフカ・ダム(Каховську дамбу)の決壊によって、死者も出ているようですし、万単位の避難者が出ていて、動物園の動物は水鳥を除いて全滅。凶暴な動物はもちろん、生態系が狂うので、無闇に放てないですしね。

住民の飲水も確保できなくなりそうです。さらに、工業用の化学物質や石油が流れこんでいるそうで、今ある水も飲めない。たしかBBCだったと思いますが、「機械用の石油の臭いがする」と現地から報告しています。

これについてはさほど大きく報道されていないので、局地的なものかもしれないですが、特定エリアだとしても深刻で、野生動物も家畜も死滅し、水鳥でさえも危うい。

ただでさえ農地は壊滅で、現在植えられている農作物はほほ収穫できないわけですが、これから数年間、汚染された農地は使えないとも言われています。

ウクライナ、ロシア双方が非難しあっていて、いったいどっちがやったのかわからんですが、世界各国の主要メディアをチェックした結果、8割くらいの確率でロシアが仕掛けた爆薬によるものです。残り2割はウクライナ犯行説とただの事故説です。

ただの事故だとしても、ロシアの管理下にある以上、ロシアの責任です。戦争が終わったら、たんまり賠償金を払ってもらうべきです。

※2023年6月7日付「CNN」 この記事が比較的詳しく化学物質と石油による汚染について報じています。

注:英語表記ではKakhovkaになっていて、これを日本語表記にするとカコフカですが、ロシア語ではКаховская、ウクライナ語ではКахо́вськаです。カコフスカヤ、カコフスカという表記になっていることもありますが、カコフカで定着しているようなので、それに合わせます。

 

 

ショイグが解任された?

 

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カホフカ・ダムについては何を書こうとも、3時間後には新しい情報が出てきそうですので、軽く触れるに留め、ダム騒動の影に隠れている話題に移ります。

プーチンがショイグを解任したという情報が流れています。プーチンはモスクワへのドローン攻撃とベルゴロドへの進撃のふたつに激怒して、ショイグの解任に至ったという話。

ショイグは昨日も何かコメントを出していたので、解任はガセだと思うのですが、ロシアの領土を侵されたことに対して、プーチンは相当に焦り、怒っているのは事実であり、軍への叱責をやっています。ウクライナの領土を奪おうとしたのに、自分の領土が侵犯されるとはまさか思っていなかったでしょう。

私もベルゴロドには注目しているわけですが、ここまで触れずに残していた注目点があります。ロシア自由軍ロシア義勇軍の連合軍に、ポーランド義勇軍(Polski Korpus Ochotniczy。略称はウクライナ語のイニシャルでПДК/PDK)も参加していることです。

 

 

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