松沢呉一のビバノン・ライフ

売掛禁止に意味がないと主張する元「ホス狂い」の意見を聞くべし—ホストクラブ規制を求める人々の薄っぺらさ[中編]-(松沢呉一)

改めて売掛禁止の難しさと無効性を確認する—ホストクラブ規制を求める人々の薄っぺらさ[前編]」の続きです。

 

 

以前ホストクラブの客だった人物の説得力のある意見

 

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当初は前回だけで終わる予定だったのですが、YouTubeがプッシュしてきた以下の動画を観て、「これは紹介しなきゃ」と思いました。

 

 

YouTubeがこの動画をプッシュしてきたのは、ホスト規制についての動画だからでなく、VTuberだからかもしれない。

登録者は12万人いて、キャッチーなテーマを取り上げているのですが、「金美館通りの藤村さん」というチャンネルはこの動画で初めて知りました。

他の動画をいくつか観ても、また、ざっと彼女のXを見ても、「接客業」の中身はわからなかったですが、藤村さんは、飲み屋か性風俗で働いていたようです(「待機室」と言っていることから、たぶん性風俗。また、「出勤を増やす」と言っていることから、シフトが比較的自由になるデリヘルか)。その10年間、ホストクラブに通っていたホス狂いで、その経験から、個人の視点ではあれ業界のことをよく知ってます。5年前までの10年間ですから、今とは少し状況が変化していそうですが、どこがどう変化したか、理解できる範囲でしょう。

今は一切ホストクラブに行かないし、この先も行くことはないので、自分にとってはホストクラブがなくなっても困らず、あえてホストクラブを擁護する気はないと言って、事実ベースの話をしています。実際、彼女が話しているホストクラブや客の様子が大多数のホストクラブや客の現実だと思います。

 

 

私の補足

 

vivanon_sentence彼女自身、売掛をしたことはほとんどなく、手持ちがない時に担当ホストから「来て欲しい」と言われて出かけていった時に次回まで短期かつ低額の売掛をしたことがあるだけで、周りにも高額な売掛をするのはほとんどいなかったとのこと。そんなもんだと思います。ホス狂いでも大半は自分の収入の範囲でホストクラブに行っているだけ。

誤解のないように念押ししておきますが、四半世紀前、性風俗従事者であっても、「ホストクラブには行かない」「一回行ったけど、面白くなかった」というのもたくさんいました。

店長がホストクラブが嫌いで、「そんなところに行くなら、金を貯めて、とっとと風俗を辞めろ」と指導する店もありました。ただの個人の好き嫌いではなく、短期で言えば、ホストクラブに行くために一所懸命働くのがいるのですが、より稼げる店を転々とし、業種替えをするのも多いので、使いにくいのです。

業種によっても地域によっても店によっても違って、歌舞伎町の店で働く風俗嬢はホストクラブに通う率が高く、在籍の半数くらいはホストクラブに通う店があって、渋谷や池袋だとほんの数人いるだけだったり。

今も昔もそうは変わらないと思いますが、大きく変わったのは、今まではあまり見かけなかった「フツーの学生」「フツーの勤め人」までが、ホストクラブに行くようになったことじゃないでしょうか。

✳︎「金美館通りの藤村さん」のYouTubeチャンネル

 

 

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