日本と中国で真逆の風邪対策—中国のマイコプラズマ肺炎流行はなんか変[前編]-(松沢呉一)
「耳の中に虫が入った話とマイコプラズマ肺炎流行の話」の続きです。
風呂に入っても温まらないほどの寒さ
寒いっすね。手袋をしてもすぐに失くすので、あんまりしないのですが、寒さのあまり昨日は手袋をして外出しました。何日間、失くさないかが見所です。
一昨日、銭湯に行ったら、女湯から出てきたおばちゃんが、受付のおばちゃんにこう言いました。
「寒くて、お風呂に入って温まろうと思ったのに、お風呂に入っても全然温まらないよ」
この寒さを表現するのに、「風呂に入っても温まらない」とするのは「うまいな」と思いました。でも、「大袈裟だな」とも思いました。
脱衣場に入ったら、たしかに寒い。慌てて洗い場に駆け込みました。さすがに洗い場は寒いってことはないですが、温かいと言えるほどでもない。
いつもはもっと混んでいる銭湯なのですが、客が3.人しかいません。寒さで家から外に出るのが億劫になった人が多いのかもしれない。客が少ないと、湯気が空気中に放出されにくいので、室温が上がらないのです。とくに天井の高い木造銭湯ではそうなりやすい。
こういう時はいち早く浴槽に入りたい。湯温が低い銭湯だと、湯に入っても寒いことがあるのですが、ここの油温は高くはないながら、寒くなるほどではありません。
温まったところで浴槽を出て体を洗ったのですが、また急に寒くなりました。見ると、サウナから出たおっさんが、水風呂に入って、横の窓を開けてやがります。お前だけの銭湯じゃねえんだから、涼みたいなら、外に出ろ。この銭湯には、露天風呂はないですが、外に出られるスペースがあります。
おっさんが水風呂を出たところで、すぐさま私は立ち上がって、窓を閉めに行きました。
こんなことがあったせいもあり、脱衣場に出ても寒くて、「あのおばちゃんが言っていたことは本当だった」と、風呂上がりなのに凍えました。
✳︎2023年11月14日付北京市人民政府「“支原体肺炎”来袭不要慌 儿科专家为您支招」 「支原体肺炎」はマイコプラズマ肺炎。北京市によるマイコプラズマ肺炎の注意喚起の呼びかけです。
日本と中国では真逆の知恵
帰り道で思い出したことがあります。長らく日本に住む中国人とダベッた時のこと。私が風邪気味だと教えたら、彼はこう言いました。
「風呂に入って寝た方がいいよ」
「いやいや、風呂に入ったら悪化するよ」
彼は「えっ?」て顔をしています。会話が噛み合ってない。
話を照らし合わせてみたら、互いに驚くべき事実が判明。日本では風邪をひいたら風呂に入らない人が多いと思いますが、中国ではまるで逆。熱い風呂に入るのが一般的だと言います。
「屋外では4割を超えたノーマスク—風邪を人にうつすと治る説」に日本と中国で、感染する病気について、同じような迷信があると書きましたが、まったく違う考え方もあるのです。
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