消費者契約法がホストクラブに適用できる例はごく稀—ホストクラブ規制を求める人々の薄っぺらさ[追加編4]-(松沢呉一)
「塩村あやか参議院議員の思考を読み解く—ホストクラブ規制を求める人々の薄っぺらさ[追加編3]」の続きです。
ただの痴情のもつれがホストの問題にされる理不尽
ちょっと前に、歌舞伎町でホストが刺されたじゃないですか。
私は「一定数いる頭のおかしな客がまたやらかしたか」と思いましたが、文春オンラインによると、あの加害者は、ホストクラブの客ではありませんでした。被害者もホストではなく、内勤でした。事務職なのかボーイなのかわからんですけど、接客はしません。
両者はインターネットで知り合い、つき合っていた関係。その関係で男に金を渡していただけです。よくいる貢ぎ女とよくいる貢がれ男の揉め事。ホストと客じゃなくてもある話。会社員同士でもありますし、男と女が逆転した関係でもあります。
歌舞伎町で起きたために「歌舞伎町=ホストクラブ」の連想から、「ホストに金を貢いだ客が逆上した」とたいていの人が勘違いしたと思うのですが、下井草なり、綾瀬なり、馬込なり、ホスト・イメージのない場所に置き換えた方が正しく事態を捉えられようと思います。
これをホストクラブの問題として、ホストクラブ規制につなげる根拠とするのは無茶苦茶ですし、どう規制したところで、このような事件は解消できません。
たしかにひどい男ではありますが、あの女は殺人未遂傷害をやらかした犯罪者です。しかも、睡眠薬ジャンキーだったようです。こんな犯罪者に同情して、被害者が加害者のように扱われるのはおかしいべ。
ホストはよく刺されている
繁華街の表通りでの殺人未遂はそうあるものではないですが、ホストはけっこう刺されてます。
出入り禁止にしても来る客ですから、相当ヤバいでしょ。
私の言っていることは加害者に冷たすぎると感じる人は、男女を入れ替えてみてください。歌舞伎町でも六本木でも銀座でもいいですが、男が女を刺し、「この女に俺は1,500万を注ぎ込んだんだ」と叫んで、殺人未遂で逮捕されたとして、この男に同情する必要がありますかね。
男でも女でもただの犯罪者扱いでいいと思います。
消費者契約法の適用は可能か
11月30日、消費者庁が、好意の感情を不当に利用した契約は、消費者契約法によって取り消しにできるとして、ホストクラブの売掛も取り消しにできる可能性があるとの見解を発表。
この根拠は消費者契約法第4条第3項第6号としています。
当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、当該消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。
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