松沢呉一のビバノン・ライフ

中国人の半数以上はロンドンの難癖グループに否定的—日本では「港区放尿女子」が世間を騒がせ、英国では「小粉紅」が世界を呆れさせた[7]-(松沢呉一)

中国国内でも批判される難癖中国人グループ—日本では「港区放尿女子」が世間を騒がせ、英国では「小粉紅」が世界を呆れさせた[6]」の続きです。

 

 

中国のSNSで難癖グループはどうとらえられているか

 

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前回見たように、中国メディアも、「香港01」のような一部例外を除くと、在ロンドン難癖グループを積極的に擁護するような真似はしてません。

中国の共産党メディアが取り上げるとすると中国人グループを擁護して、ドクターKを差別者呼ばわりするような記事だろうし、あまりに中国人グループの言い分に無理があって擁護できない場合は一切触れず、インターネットの書き込みも削除して回る。そのどちらかだろうと想像していたのに意外でした。

そのことにも関わっているでしょうが、SNSでも、難癖グループを支持するのは少数です。

以下の動画をご覧ください。

 

 

このChopsticks and Trainsというチャンネルをやっている人物は米人で、駐在員として中国に10年住んでいます。仕事か趣味かわからないですが、よく中国国内を旅行をしていて、その記録や食事についての動画を公開しています。

中国語を理解でき、中国共産党の怖さもよくわかっていて、普段は登録が必要なSNSも見ないそうです。はっきりとは言ってないですが、「我が国の情報を集めていたスパイだ」と難癖をつけられて何年も刑務所に入れられかねないですから。やたらと撮影するのも危ういですが、観光地を回っているだけなら大丈夫でしょう。あ、でも、顔を消してないな(下のSS参照)。同い歳ならいいとして(笑)。

しかし、今回はコメント欄で「中国国内のSNSでも批判されている」と教えられてSNSの意見を収集。「いいね」が多いものから10本を選択して読み上げています。

この方法は、とくに中国のような国では有効です。ネット工作をやっている部隊が大量のコピペコメントを書き込んで、世論を誘導していることがあるため、ランダムに選んで集計すると、共産党の思惑が浮上するだけだったりします。また、共産党批判まで至らない限り、まず大丈夫とは言え、自分で書き込むのはリスクがあるため、「いいね」だけやっている人は少なくないでしょう。

その結果に、彼は「感銘を受けた」と言ってます。ストレートに批判しているのでなく、遠回しに揶揄しているものを含め、7割は難癖中国人たちを否定的にとらえています。

英国での肖像権の扱いを長文で丁寧に説明したコメントもあります。つまり、公共の場での撮影では肖像権侵害にはならないし、営利であってもライブストリーミングは原則違法ではないことを説明し、「正確な法を広く知らしめるため、ぜひ英国人を訴えてください」と難癖中国人たちを皮肉っています。

皮肉を込めた表現が多いのは中国での知恵かもしれない。表面的には「法的手段を取る」と言っている難癖グループに賛同していますから、当局が英国人の肩を持つことを封じたい場合でも、スルーされやすい。

 

 

中国人になったり、英国人になったり

 

vivanon_sentenceここで私が「あー、そうか」と思ったのは「いいね」第5位のコメントです。

英国に住む英国人は大変プライドが高く、中国の国旗を手にして買い物に出かけ、間違っているにもかかわらず、自分を守るために中国の法律を使うのだ」という内容です。解説するまでもなく、これは難癖中国人たちを非難した皮肉です。

ドクターKが、「ここは英国です。自由の国です。郷にいれば郷に従え」みたいなことを言ったことに呼応して、Adelina Ning Zhangが「私も英国人です」と返した際、私は「市民権を得ているのか、帰化しているのか」と思っただけでしたが、自分の都合に合わせて、中国人になったり、英国人になったりする様に反発した中国人たちが少なからずいるのです。

第9位も同趣旨ですし、それ以外のコメントでも、Adelina Ning Zhangが「私も英国人です」と発言したことに言及したものがあります。彼らにとっては重要な発言だったようです。

 

 

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