松沢呉一のビバノン・ライフ

難癖中国人たちが隠したかった人物が特定された?—日本では「港区放尿女子」が世間を騒がせ、英国では「小粉紅」が世界を呆れさせた[9]-(松沢呉一)

中国ナショナリズムと小粉紅—日本では「港区放尿女子」が世間を騒がせ、英国では「小粉紅」が世界を呆れさせた[8]」の続きです。

 

 

あの場にいたとされるChristine Leeという人物

 

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あの騒動に関わったNewton LengAdelina Ning Zhang、Mengying Liuらは、中国のプロパガンダに関与する党員ではあれ、下っ端の雑魚だろうと私は思っているわけですが、だとすると、あの過剰反応が解せないところではあります。そういう体質が身についているだけかもしれないですが。

そのヒントになるかもしれない人物が特定されています。

 

 

このチャンネルをやっているDavid ZhangはNY在住の中国ウォッチャー。共産党には批判的です。

彼によると、あの場には、Christine Leeという人物がいたそうです。彼女は、おもに中国人をクライアントとする弁護士であり、ロンドンでオフィスを構えています。

2022年1月、英国公安局(MI5)が中国共産党のエージェントであると断定し、英国社会に警告を呼びかけています。これはFBIとの共同調査に基づいており、彼女は労働党の国会議員に取り入り、息子を議員事務所で働かせ、当該議員に50万ポンド(日本円で1億円弱)を寄付。それを足がかりに多数の議員にロビイングを仕掛けてました。

このため、彼女は自宅軟禁状態になり、銀行口座も凍結され、中国に行くことも禁じられます。

彼女も中国政府もこれを批判し、2023年7月、彼女はMI5を名誉毀損で提訴。現在も裁判は続いています。

しかし、エージェントかどうかは別にして、また、違法行為はしていなかったにせよ、中国政府のために動いていたことは間違いなく、中国政府から招待され、習近平と握手を交わしています。

彼女は11歳の時に英国に移住してきて、現在59歳か60歳ですから、半世紀近く英国に住み、おそらく国籍は英国です。それでも中国共産党の手下のように動く。

そんな人物があの場にいたのが事実であれば、撮影されることを嫌がったことも納得できます。

なお、Mengying Liuは事情がよくわからないまま、あの場にいたとDavid Zhangは推測してます。たしかにあの場では当惑しているようにも見えます。彼女は、ドクターKを訴えるだか、訴えただかと言っているようですが、何をどう訴えるのか不明。

 

 

ウクライナでも日本人になりすました中国人がいた?

 

vivanon_sentence続いて前回の補足的情報。

以下は2022年3月2日付「Financial Times」。「Don’t touch her」の連呼で一躍世界に存在を知らしめたNewton Lengが顧問を務めると言われる新聞でありますが、それとは無関係のウクライナについての記事です。

 

 

ロシア侵攻まで、中国はウクライナとの友好関係を築いてきて、キエフ大学には数百人の中国人が留学するなど、千人を超える中国人がウクライナに来ていたのですが、国連総会緊急総会で提案されて圧倒的に支持された「ロシアに全軍の即時撤退を求める決議案」を中国は棄権し、中国のネット民はロシアを称えてウクライナ侵攻を支持し、中国による台湾への侵攻を重ねる意見も。ウクライナは中国にとっての台湾ですから、侵攻されて当然であり、ウクライナ人を蔑視する書き込みが多くなされます。

 

 

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