中国で炎上した食べ放題の動画に見るマナーの変化—中国人のマナーを鑑賞する[2]-(松沢呉一)
「香港人が呆れる中国人たちの行動—中国人のマナーを鑑賞する[1]」の続きです。
夢にまで中国が侵攻してきた
昨日の夢はリアルな長編で面白かったです。
在日中国人コミュニティの実力者(夢の中では苗字も出てきた。趙だったかな)は、中国人のマナーの悪さ、モラルの欠如に頭を悩まし、これでは世界から孤立するばかり。そこで彼は祖国のイメージアップのため、コミュニティ内粛清ルールを制定し、中国人の間に張り巡らされた監視システムを利用して、厳しく取り締まることにします。個人の良心に委ねても、良心なき人々には期待できないので、罰金を徴収します。
共産党政権の方針に合致してますが、念のために話を通しておいた方がいいだろうと考えて秘密警察に出向きます。そしたら、「本国には知らせなくていいので、罰金の3分の1を寄越せ」と裏金を要求されます。趙は「その分、罰金をいっぱい徴収すればいいか」と摘発活動に精を出します。マナーの悪い中国人、モラルのない中国人はいくらでもいて、なんぼでも罰金を集められ、3分の1は秘密警察に、3分の1は経費とし、残りを自分の懐に入れて、ボロ儲け。
この腐敗ぶりに、在日中国人の間で不満が蓄積され、もっぱら反共産党派からなる反主流派の粛清団体が設立され、主流派の行動を監視し、告発します。こっちは同じ轍を踏まないように罰金をとってません。
私の知人は反主流派で、うちの隣にある木造モルタルのアパートに住む主流派メンバーの監視をするためにやってきて、隣をずっと覗いてます。
「階段を上がる時に音を出したら告発してやる」
いやー、金属の階段を上がる時はどうしたって音が出るし、私自身、それがマナー違反だなんて考えたことがないので、「やりすぎだろ」と思ったところで目が覚めました。
目が覚めても階段を上がるカンカンカンという金属音が耳に響いてました。そんなアパートは近所にないぞと思ったのですが、近くのビルで外装工事をしている音だったようです。
この夢は中国人のマナーの悪さ、モラルの欠如を改善することの難しさをよく表現していて、我ながら感心しました。中国共産党自体が腐敗しまくって、モラルのかけらもない以上、国民も腐敗するのは当然です。
日本叩きをしようとした中国人の失敗
もうひとつ改善が難しいケースがあって、中国ではマナーに合致している行動が、他の文化圏ではマナー違反になる例です。
前回に続いて、香港SCMPコレクションから見てみましょう。
2018年の作品。
日本でも話題になったのでご存じの方もおられましょうが、大阪の牛角で食べ放題を頼んだ中国人たちが、制限時間を過ぎて注意されても居座って、「日本人客と自分らは扱いが違う。差別だ」と言い出して撮影をし始めて、これに店が怒ったところを中国のSNS微博に投稿したものです。
食い放題の店だと、多くの場合、制限時間が来てもまだ食べたいってことはなく、飲み放題もつけて酒を飲み続けたいことがあるだけかと思います。普通は「時間です」と言われたら出るでしょうが、酔っ払って、店に迷惑をかけることを気にしなくなる人たちもいようかと想像します。
しかし、この中国人たちは泥酔していたわけではなさそうです。自分らが悪いとは微塵も思ってないようで、微博でも「中国人だからと差別されて追い出された」と被害者ぶって、反日勢力に同情されようとしたのですが、日本のテレビ局が店に取材して、それが中国に伝わって、真相がわかって炎上。
食べ放題の店が少ない中国では、体験したことがない人が少なくないため、時間制限があることがわかっていなかったのか?(以下にあるように、中国でも時間制限があるのが普通です)
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