ジョン・レノン『インスタント・カーマ』 –ただの不良のようなオアシス兄弟は「インスタント・カーマ」のテーマを完全に理解しているのです
ジョン・レノンの最高傑作といえば、みなさん、どの曲を思い浮かべますか?僕は「インスタント・カーマ」か「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」、「アクロス・ジ・ユニヴァース」です。
たぶん、オアシスのリアム・ギャラガーの名フレーズ、「サンシャイーン」って、フレーズはジョン・レノンの「インスタント・カーマ」のシャインから来てると思うのです。
ビートルズが僕らに与えてくれた魔法の言葉って「サンシャイン」だと僕は思ってます。灰色の空と呼ばれれるイギリスに育った人たちにとって、別にカリフォルニアに生まれ育ってなくても、サンシャインと歌えるんだと希望を与えてくれたのです。
アメリカで生まれた音楽を、その国の人間じゃなくても、それ以上にやれるんだと証明したことも、すべての人に希望を与えているんですけど、たった一言でビートルズの全てを語る時、ラブかもしれませんが、僕はサンシャインだと思うのです。ラブは恥ずかしいですよね。
もちろんこの魔法の言葉はビートルズのポール・マッカートニーが歌った「グッド・ディ・サンシャイン」から来てるのかもしれないですけど、リアム・ギャラガーが意識しているサンシャインって、ジョンが歌った節じゃないとダメなんです。で、僕は「インスタント・カーマ」なのかなと思っているのです。
ビートルズの曲じゃないんですけどね。ビートルズ時代に作ったジョンのソロ作です。性格には、ヨーコさんと作った新しいバンド、プラスティック・オノ・バンドの曲です。アルバムに入ってない曲なので、イギリス以外の人はあまり知らないかもしれないですね。
とにかく曲が出来てから10日後にリリースされたとんでもない曲です。
ネット時代のいまだとそんなこと当たり前ですけど、当時は、曲を作って、スタジオ押さえて、ミュージシャン集めて、プレス工場押さえて、流通のスケジュール押さえて、宣伝やって、やっと半年後にリリースするのが普通でした。ジョン・レノンはそういうのがもう我慢ならなかったのです。ジャマイカではレコードを1日で作って、それがその日にはサウンド・システムで聴けるなんて情報を得ていたのでしょう。新聞のような音楽を作りたかったのです。ジャマイカの映画『ハーダー・ゼイ・カム』の世界ですね。ドラッグを売るように、レコードもバイクで配達されていくあの世界観です。
「インスタント・カーマ」はどういう歌かといいますと、すぐに僕ら死ぬんだけど、でも僕らは月や太陽と同じように輝いている。お前はスーパー・スターか、そうだ、みんなスーパー・スターだという歌です。
まさにオアシスのテーマです。ただの不良のようなオアシス兄弟は「インスタント・カーマ」のテーマを完全に理解しているのです。ジョンはドラッグやって、ティモシー・リアリーの「チベット死者の書 サイケデリック・ヴァージョン」を読んで、マハリシ・ヨーギに会って超越瞑想のこと学んで、インド行って、離婚して、ヨーコさんと新しい人生を歩み始めて、気づいたことを完全に理解しているのです。「シガレッツ・アルコール」でこう歌ってます。
老後、太陽の下で隠居するために一生嫌な仕事をして待つことも出来る
でもコークをやれば、同じ気持ちになるだろ
すぐトップに立てるぜ
オアシスは人生の本質を分かっているのです。ジョンが「インスタント・カーマ」で歌っている意味を理解しているのです。
でもリアムはこのサンシャーンという魔法の言葉をレコードでは恥ずかしがって、なかなか歌いませんでした。サンシャインという言葉が一番最初に登場するのは「シガレット・アルコール」なんですけど、ゴニョゴニョって誤魔化しています。
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