松沢呉一のビバノン・ライフ

ダンス専門のパートが発達している米国のマーチングバンド—「オレンジの悪魔」にキャバレーを見た[5]-(松沢呉一)

楽器を持ったまま踊る日本と楽器を持ったままでは踊らない米国の違い—「オレンジの悪魔」にキャバレーを見た[4]」の続きです。

 

 

朝、マーチングバンドの動画を観始めると、すぐに夜になる

 

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多数のマーチングバンドが出るパレードの動画を観ていると時を忘れます。

こういうの。

 

 

Nyx Parade 2020」とあります。前回動画を出したニューオリンズのマルディグラ(謝肉祭)で行われるパレードのことです。マルディグラは祭りの名称で、「Nyx Parade」はパレードの名称なのですが、ややこしいことに、パレードは一つではなく、別の名称のパレードも実施されているようです(あとででてきます)。

「Nyx Parade」は歴史は浅くて、2012年にスタート。スタッフは全員女性で、フェミ的なコンセプトのもとで運営されているようです。

マーチングバンドでは、男女の役割分担が今も強く、ドラムメジャーは男が圧倒的に多いし、チアガールはガールってくらいで女ばっかり。

おそらく「Nyx Parade」はその辺を改善していこうとしているようで、女のドラムメジャーも見かけますし、女子だけのマーチングバンドも出ています(下記参照)。

✳︎主催であるMystic Krewe of NyxMystic Krewe of Nyxのサイトより同団体のロゴ

 

 

ダンス要員が楽器隊の数と同じくらいいるマーチングバンド

 

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上の動画にはバンド名が書かれていないので、バナーを読むしかないです。以下、バナーから読み取った学校名を書いてますが、読みづらいものもあって、不正確かもしれないことをお断りします。

最初に登場するのは、刑務所内の囚人たちによるマーチングバンドです(ウソ。バナーにSouthern Universityとあります。ルイジアナのバトンルージュにある大学のマーチングバンド)。このチームは、トロンボーンの振り幅が大きいですが、ダンスとまでは言えない。

このバンドは違いますが、最も典型的なマーチングバンドの構成はバナーを持つ担当がトップにいて、次はドラムメジャー(複数いる場合でも、全員ドラムメジャーと呼ばれるようです)。次はバトントワラーなりチアリーダーなりカラーガードなりの、女性中心のチームがいて、そのあとが楽器隊(順番はしばしば変動)。

ジェファーソン・デイヴィス高校のように、ドラムメジャーもダンスができるバンドもありますから、踊り専門の人が10人から20人程度いることになります。これが標準。

後ろの方に出てくるニューオリンズにある聖キャサリン・ドレクセル予備校は、バナー担当が2人、カラーガードが8人、バトントワラーが8人いて、そのあと楽器隊が来て、さらにそのあと盾みたいなものを持ったチアガールが10人、何ももたずにはでに踊るダンサーが10人くらいいて、最後によく見るぼんぼりみたいなのを持った典型的チアリーダーが5人います。楽器を持たないダンス担当が40人以上いて、楽器隊と同じくらいか、それ以上いそうです。

 

 

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