松沢呉一のビバノン・ライフ

「あなたは洗脳されていますか」と問うことの無意味—洗脳とは?[3]-(松沢呉一)

脱北者にとっての自由・日本人にとっての自由—洗脳とは?[2]」の続きです。

 

 

キスは自由の象徴

 

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以下もジュジュワールドのアンニさんとフンさんの来日記録より。

 

 

 

 

 

見ているこっちも照れますが、ジュジュさんがこのシーンを入れたのは、あの夫婦にとってこの行為は自由を満喫することなのだと見せるためでしょう。そのことを彼らも自覚していて、これができる国にいることを実感するための行為です。

このシーンを観て、シェルヴィンの「Baraye」にも「キスする時の恐怖のため」という歌詞があったことを思い出しました。イランでも北朝鮮でも公共の場でキスしようもんならすぐさま連行されます(正確にはイランでは国の法律では禁止されていないながら、多くの州では州法で公然とキスすることは禁止されていますし。州法で禁止されていなくても道徳警察に連行されましょう)。そんな不自由な国を変えたいとマッサ・アミニは考え、行動し、殺されました。そのことを歌ったシェルヴィンもまた警察に連行されました。

イランでプロテストが高まる中で公開された一枚の写真があります。

 

2022年11月17日付「FOXNEWS

 

ヒジャブもしておらず、命懸けのキスです。

イランの場合、とくに同性間のキスだと、他に誰もいない室内であっても怖い。インドネシアでもエチオピアでも。

もう一つ怖いのは、そういった国で生まれ育った人たちの中には、公共の場でのキス、男同士・女同士のキスを嫌悪し、それらは法律で取り締まるのが当然だと思っているのが少なくないことです。これが洗脳の怖さです。

 

 

AKB48は北朝鮮だったら刑務所行き

 

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エチオピア人は日本に来ても、同性愛者に対する憎悪、嫌悪を隠さない中国人は日本に来ても中国共産党の代理人みたいなことを公然と言って日本のやり方を批判したがる。それぞれ自国の政府を嫌っていると語る人たちでもそうなりやすい。内面化した観念、感情化した観念は論理ではなかなか消せないのです。

アンニさんのこの反応も洗脳の結果です。

 

 

北朝鮮だったら刑務所行きというところで笑ってしまいますが、本当にそうですからね。表情から見て、この時のアンニさんの反応はシャレではなく、本気でしょう。

脱北しても北朝鮮に帰っていく人たちの中には、北朝鮮の不自由さを嫌って脱北したはずなのに、韓国の自由さを受け入れられない人たちもいるはずです。論理では理解できても、感情として受け入れられない。

そのことを踏まえて、脱北者に対しては1年がかりで脱洗脳を施すわけですが、ありとあらゆるところに及ぶ洗脳を解くのは容易ではない。

 

 

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