松沢呉一のビバノン・ライフ

米機密情報ペロペロ君が逮捕された—その後のロシアのミュージシャンたち-(松沢呉一)

 

機密情報を漏洩したのは21歳の州兵

 

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「機密文書」に書かれたパルチザン—プーチンと闘うためにウクライナに亡命したヤクーツク人の元ロシア軍将校」に追記しましたが、米「機密文書」の流出はマサチューセッツ州の州兵ジャック・テシェイラ(Jack Teixeira)が逮捕されたことによって、国家レベルの情報戦ではなく、回転寿司のペロペロ君や金髪醤油君と同類の自己承認欲求おばけの仕業だったことがほぼ確定。仲間内で関心を持たれるはずが、あれよあれよと世界を震撼させることになったところも似ています。

 

 

 

あとは、「21歳の下っ端州兵がどうやって国家機密にアクセスすることができたのか」「本物の機密の中に、なぜあからさまな改竄が施されていたのか」といった謎の解明が待たれますが、微妙な問題ですから、まだ自供内容、捜査内容はほとんど発表されていません。

彼はIT担当だったために機密にアクセスできたとの説も出てますが、だったら、コピーしたデータをそのまま出すでしょ。一度紙にプリントされたものを撮影していることの説明がつかない。州兵向けに国防省なりシンクタンクなりの講師がレクチャーした時の持ち出し禁止の資料をこっそりスマホで撮影し、講師は万が一情報が漏れた時のために、どこから漏れたかわかるように改竄を入れておいたとか、なんか合理的な理由がありそうです。

これについてはこの先も本当の話が公開されるかどうかもわからないです。彼は懲役15年くらいになりそうで、シャバに出て来るのを待つか。

続きは15年後に。

 

 

入隊事務所に火炎瓶を投げて懲役19年の判決を受けたミュージシャンたち

 

vivanon_sentence戦況や国際関係に影響を与えかねないですから、懲役15年はやむなしかと思うのですが、ロシアでは懲役19年の刑を食らったのがいます。

 

 

37歳のアレクセイ・ヌリエフ(Алексей Нуриев)は国家警備隊勤務、27歳のロマン・ナスリエフ(Роман Насрыев)は国家警備隊の運転手。

バリバリの体制側の人間ですが、2人は戦争にも徴兵にも反対。体制内にも戦争反対派が多数いると言われることを証明するような存在です。

彼らは昨年10月11日に、チェリャビンスク地域のバカル(Бакар)市で、入隊事務所のある建物の窓を割って火炎瓶を投げ入れて逮捕されました。火災はたいしたことがなかったようですが、単なる放火ではなく、テロ容疑で懲役19年の判決。

2人はバンドをやっていて。アレクセイ・ヌリエフはギター、ロマン・ナスリエフはドラムのようです。

 

 

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