松沢呉一のビバノン・ライフ

ロシア領内へのドローン攻撃の成果と国を出たがる若者たちの増加—国外脱出したロシア人たちの苦渋[20]-(松沢呉一)

テリちゃんねるの早とちりをたしなめる—国外脱出したロシア人たちの苦渋[19]」の続きです。

 

 

ソリツイ空軍基地へのドローン攻撃

 

vivanon_sentence

今月に入ってモスクワへのドローン攻撃が相次いでいましたが、すべて防空システムに阻まれて、標的に到達せずに撃ち落とされてます。それでも市民の不安が高まるくらいの効果があるのかもしれないですが、ロシア人たちは現実を直視しない能力を身につけているので、あんまり効果がなさそうで、だったら、防御体制が強固なモスクワではなく、基地や武器庫を狙った方がいいのにと思っていたら、今月の後半から、その通りの動きを見せています。

ロシア・ノブゴロド州ソリツイ(Сольцы́)空軍基地をドローンが襲撃し、少なくとも2機のツボレフ爆撃機(Tu-22M3)が損傷したとウクライナ側は報じていて、ロシア側は一機が損傷と言ってます。写真が何点か公開されているだけで、それを見ても一機か二機かわからないですが、損傷どころか、完全に破壊されたのではなかろうか。

ウクライナから200キロほど離れているので、さほど爆薬は詰めず、それでも航空機に衝突すれば燃料に引火して大きな成果を得られます、

 

 

ソリツイ空軍基地は、ウクライナへの爆撃の拠点基地であり、ここを叩くことはウクライナにとって大いに意味があります。殺された同志や住民の敵討です。ここからロシア軍がより内陸に爆撃機を移動させることになりそうで、飛行機が飛ぶのに100キロの差はたいしたことではないですが、わずかではあれ効率が落ちます。

なお、ウクライナ軍は今もロシア領内に対するドローン攻撃を自分らがやっていると認めておらず、これらのドローンがウクライナ領内から出たものか、ロシア国内からなのかは不明ですが、おそらくウクライナ領内です。だから、あまり爆薬を積めない。

 

 

ドローン攻撃に動じないように見えるモスクワ市民たち

 

vivanon_sentence

29日にはプスコフ(Псков)空軍基地など、同時に6ケ所をドローンが襲撃。

 

 

モスクワを含めた他5ヶ所の戦果は不明ですが、プスコフ空軍基地では大型輸送機(IL-76)4機が損傷し、うち2機は炎上ですから、十分な効果がありました。この:攻撃とロシア軍の航空機を避難させるため、民間航空機のフライトにも支障が生じています。

ペスコフ報道官もこれについては触れていて、数機が損傷したことを認めていて、ロシア・メディアも大きく取り上げています。ロシアがこの件を大きく取り上げているのはちょっと臭うところがあります。

 

 

next_vivanon

(残り 1569文字/全文: 2756文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ