The Rolling Stones “Angie” 出だしの一音でとべます。こんなにすごいギターがたくさんあるのに、キース・リチャードって、ギターが下手と言われるのが不思議です。
ベース音が最高の曲はシックの「グッド・タイムス」と書きました。アコギでそんな至福の時を過ごさせてくれる曲と言えばザ・ローリング・ストーンズの「アンジー」です。
出だしのAのハーモニックスだけで、昇天します。
それに続くジャラーンというギター・コード、そしてアルペジオ、非の打ち所がない、完璧です。
このギターを弾くこの頃のキース・リチャーズといえばヘロインで頭がドロドロだったと思うのですが、なぜこんなにも美しいことが出来るのか、ここまで美しいからほとんどの人がヘロインをやればこんなにも美しい曲、ギターが弾けると勘違いしたのです。
その一番の代表例が村上龍の「限りなく透明に近いブルー」です。どういう小説かといいますと、ベトナム戦争に行かされる前の横須賀で駐留する米兵相手にヘロインや日本人女性を調達して、自分も米兵にカマを掘られるというお話です。この小説でヘロインが何を象徴しているかといいますと、ヘロインをやれば、アメリカの属国となった日本が見えるのだということを表しているわけです。
こんな勘違いが、今も続いているわけです。
それが日本のロック、芸術、文化なのでしょう。
この小説の中でストーンズはよく出てきます。丁度「アンジー」が入ったアルバム『山羊の頭のスープ』が出た頃が舞台だったような気がします。
あのデヴィッド・ベイリーが撮った『山羊の頭のスープ』のジャケットは退廃の極地のようなジャケットです。ベールに包まれた貴婦人のようなイメージでミック・ジャガーが写っています。デヴィッド・ベイリーが何をイメージしたかといいますと、キャサリーン・ヘップヴァーンとハンフリー・ボガードの映画『アフリカの女王』のワン・シーンを再現しているのです。キャサリーン・ヘップヴァーン演じる何も分かっていない主人公のオールド・ミスが蜂に襲われて酔いどれ船長役のハンフリー・ボガードから虫除けベールをかけられたシーンです。
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