松沢呉一のビバノン・ライフ

ウクライナ軍によるロシア領内への攻撃が激化—ベルゴロド州の全学校は休校に-(松沢呉一)

 

 

ドンキで爆買いするロシア人観光客をウクライナ人のバイトが接客する局面

 

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入国制限がほぼ撤廃されて、各所で外国人観光客を見かけます。

 

 

ロシア人カップルがいます。店舗でバイトをするウクライナ人が爆買いするロシア人の相手をするのは辛いでしょう。ということから、バルト三国、フィンランド、ポーランドがロシア人のシェンゲンビザを無効にしました。ロシア人カップルのあとに出てくる「嘘つき」の母国であるチェコも10月25日からこれに続きます。

以前私は「国を特定して、入国を制限するのはどんなもんか。中にはロシアで反戦活動をやっていたけれど、亡命するほどの活動家でもなく、観光ビザで移住の下見をしに来たという人だっているだろうに」と考えて、これらの措置に反対していましたが、現実には「今までウクライナ侵略に反対ではなく、むしろ積極的に賛成していたが、貧乏な少数民族が殺し、殺されているならいいとして、自分までが動員されるのはたまったもんじゃない」ということから国外脱出を決断した人が少なくなくて、日本円で何十万もする航空券を買って観光客気分で出たよその国で、今後も反戦活動をやる可能性は低いとわかってきたため、これらの措置はやむなしと考えを変えたことは、「逃げることだけ得意なロシア人たちを見て考えを変えました—プーチンに核兵器を使用させないために[上]」「ロシア人は火炎瓶を投げてから国を出るべし—プーチンに核兵器を使用させないために[下]」に書いた通り。

動員令の前に国外に出ていたプッシー・ライオットのメンバーやTVレインのスタッフたち、能力の高い研究者、技術者、表現者たちと、動員令以降に国外に出た人たちとは区別した方が良さそうで、後者については入国制限やむなし。

つっても、今現在、それほど多くのウクライナ人が日本で生活しているわけではないし、それほど多くのロシア人が観光で来ているわけでもないので、日本でロシア人の入国を制限することには反対。

※2022年10月12日付「TV Nova」 チェコ政府がロシア人観光客の入国禁止を決定したことを伝えるチェコメディアですが、あくまで短期滞在のシェンゲンビザが無効になるだけです。通常の観光ビザの取得は可能で、その際に「プーチン政権を支持するか否か」といった質問もされるようです。噓を言えばいいわけですが、「プーチン政権を支持しない」と答えた記録が残って、金玉を握られた状態になります。

 

 

緊迫するベルゴロド

 

vivanon_sentence観光で日本に来るロシア人もいていいとは思うのだけれど、いかに漫画やアニメが好きで、いかに日本に来たいと乞い願っていたのだとしても、この時期に長閑に観光を楽しむロシア人の気持ちはわからんです。親は政府の報道官をやっていて、自分は戦争に行かなくていい保証があるのかもしれないですが、貧乏人は国外に逃げることも、国外観光をすることもできず、動員されて戦地に行くしかない。

防寒具などの装備品は自腹であり、新規で揃えると、日本円で20万円くらいかかるらしく。貧しい家では、物を売ったり、借金して金を捻出しているとどっかに出てました。その上、戦死したら借金だけが残る。どうせ弔慰金は払われまい。そういう人たちのことを考えないのかな。

動員令が出てから、ロシア国内は揺れに揺れていて、さらにここに来てロシアのベルゴロドが緊迫しています。観光している場合じゃないと思うんですけどね。

 

 

TVレインです。

 

 

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