首位アルバルクのHCが敗戦後にクリスマスについて笑顔で語れたのは何故なのか?<コラム>
本サイトの有料コラムについての説明はこちらまで。
アルバルク東京は、今季最大となる23点差をつけられて名古屋ダイヤモンドドルフィンズに敗れた。当然ながら、試合後のアドマイティスHCは敗因について反省をまじえて話をしていくことになった。どんなHCも、あらゆる試合にも勝つために準備をしている。だから試合後に悔しさをにじませるのも当然だ。
ただ、名古屋戦の後の少し珍しい質問に対して、アドマイティスHCはジョークをまじえて答えている。
質問は「母国リトアニアでクリスマスイブやクリスマスに試合があるかどうか。そして、日本でそういった日に試合があることについてどう感じるのか」について。そのような質問が出た経緯は、リトアニアのあるヨーロッパの国々ではクリスマスなどにはスポーツの試合が組まれないところも多いからだろう。
アドマイティスHCの答えは以下のようなものだ。
「リトアニアでは、もちろん25日はプレーしません。一方、クリスマスイブには、たまに、試合が組まれるケースもあります。ただ、(イブの)夜には家族で夕食を一緒にとります。
今、私の妻と娘も来日していますので……今日は負けた罰として、『自分が晩御飯を作る』つもりでいます(笑)
もちろん、試合に勝って気持ちよく、みんなでディナーを食べるのがよかったのですが。今は、負けて少しイライラしているので、料理の味には自信がないですね(笑)」
悔しい敗戦の後にこのようなジョークを口にできた理由の一つは、彼がメディアの人たちをリスペクトしているからだろう。昨シーズン終了後、アルバルクの公式Xで以下のような投稿があったことを覚えている人もいるかもしれない。
「より多くの人にBリーグのニュースを届けてくれてありがとうございました」
記者会見の最後にはメディアの皆さんに感謝を伝えたアドHC
アルバルク東京を発信してくださった皆様、今シーズンもありがとうございました#アルバルク東京 #WE #WEFAZE #Bリーグ pic.twitter.com/ojVUVOMVlQ— アルバルク東京【ALVARKTOKYO】 (@ALVARK_TOKYO) May 22, 2023
HCのなかには、試合後にいら立ちを隠せず、何を聞かれても敵意むき出しで答える人もいる。
しかし、アドマイティスHCは違う。彼はいつも、会見終了後にメディアに対してもお辞儀をするくらい丁寧に対応する。
では、この日の彼の答えは……。
「試合には負けてしまいましたけど、選手たちも、しっかりと自分たちの仕事をこなします。コーチ陣もそうです。みなさんのようなメディアの人たちも、こういったやり取りを記事にしてもらうという形でのお仕事がありますよね。
そして、その仕事が終わったら……やはり、家族との時間が大事ですよね。みなさんもそうだと思うんです。明日はクリスマスなので、みなさんにもそうした時間を楽しく過ごしていただければなと思っています」
この日の彼が口にしたジョークのなかに「少しイライラしている」という言葉があったように、勝負の世界で生きる人間として、HCの心の中には悔しさやいら立ちはあったはずだ。
しかし、彼はそうしたものをメディアの人間に見せるのではなく、むしろ、メディアの人のたちの幸せを祈ってみせた。そこには確かなリスペクトがある。もちろん、メディアだけではなく、選手やコーチングスタッフ、クラブの人間にまで彼はきちんと敬意を払う人物なのだ。
そして——。
おそらく、敗戦の弁のあとに、ジョークを交えつつ、メディアへのリスペクトを口に“できた”理由はもう1つある。
(残り 696文字/全文: 2249文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ